レポート by したコメサポーター 渡邊淳子
写真 by したコメサポーター 富田郁、吉岡茂
短編映像コンペティション「したまちコメディ大賞2016」が、
9月18日(日)浅草の雷5656会館 ときわホールで開催されました。
コメディ界の新たな才能発掘のために、したコメが企画しているコンペで、
今回で8回目となります。
回を重ねるごとに盛り上がりをみせる本コンペ。
2016年も、200本近くの応募があり、最終審査に入選した10作と「U-25特別枠(25歳以下の監督による優秀作)」の作品の合計11作が上映されました。
審査員は、『愛を乞うひと』の平山秀幸監督、スタイリストや文筆業で活躍中の伊賀大介さん、テレビ東京プロデューサーの五箇公貴さん、いとうせいこうPの4名。
また、5656会館を埋める観客の方々も観客賞の審査員! 皆の熱い期待のなか、上映が開始されました。
作品は、3ブロックに分かれて上映。
1ブロック目は、
藤原伊織監督『オカンロイド』
桜井瑛二監督『エリンギ侍 女はこわいよの巻』
谷口雄一郎監督『私以外の人』
土肥耕作監督『ピノッキオ』(U-25特別枠)の4作品。
左から、土肥耕作監督、桜井瑛二監督、谷口雄一郎監督、藤原伊織監督
2ブロック目は、
上田慎一郎監督『ナポリタン』
家庭教師てつおうの『てんてんてん。』
松村慎也監督『悪魔ノ棲ム家』
イッキ監督『なめくじ劇場THE MOVIE 2016「再会」』の4作品。
左から、イッキ監督、松村慎也監督、家庭教師てつおう監督、上田慎一郎監督
最終3ブロック目は、
山岡大祐監督『空気を読む。』
大北栄人監督『iPhoneがバリバリ伝説』
小笠原風監督『これでいい気がしてきた』の3作品。
左から、小笠原風監督、大北栄人監督、山岡大祐監督
各ブロックごとの上映後には、場内の熱気に包まれるなか、4名の審査員による講評があり、それぞれの異なる才能、クオリティについて語られました。
4名が審査のため別室に移動した後には、昨年グランプリを受賞し、2016年のアバンタイトルを制作したイッキ監督が登場。
「世界の人々に"したコメ"を知ってもらいたいから、英語を使った!」と制作の背景を語ってくれました。
左から、アフロ後藤さん、亀岡孝洋さん、イッキ監督
続いて、招待作品の3作を上映。
1本目は、昨年行われた「ショートショートムービーフェスティバル・ラブコメ大会」のグランプリを受賞した中川晴樹監督の『オトコノクニ』。極道のラブコメという独特の世界に、会場も盛り上がりました。
出演の加藤啓さん(左)、中川晴樹監督(右)
2本目は、俳優としても活躍されている田中要次監督の『ドラムマンz バチがもたらす予期せぬ出来事』。フォトセッションには、本作にご出演の林田麻里さん、原田円さんにも加わっていただけました。
左から、原田円さん、田中要次監督、林田麻里さん
3本目は、ジョン・ウー監督の娘さんのアンジェルス・ウー監督作品『Nuts!』。ジョン・ウー監督が撮影されている作品のアクション演出を担当されていて、撮影が延びてしまい、今回はご登壇いただくことができませんでした。7月の段階で既に、したコメの会場で着るための衣装を用意するほどご本人も楽しみにしていたとのこと。残念ですが、次回来てくださることを楽しみにしたいと思います!
招待作品上映のあとは、いよいよ審査発表の緊張の瞬間を迎えます。
審査員が登場すると、なんとここでサプライズの誕生日ケーキが!
コンペ当日の9月18日は、平山監督のお誕生日。監督はしきりに頭をかいていらっしゃいましたが、ケーキのろうそくの炎を吹き消し、喜んでくださいました。
引き続き、受賞者の発表です。
観客賞として『iPhoneバリバリ伝説』と発表されると、大きな拍手が。
しかも、つづく準グランプリとのダブル受賞!
服部征夫台東区長から賞状を受け取ると、大北栄人監督は、
「8年間、動画を1日1本YouTubeにアップしてきました。がんばってきて良かった!」と、喜びを語りました。
会場の皆さんもジーンと胸を熱くさせていらしたようです。
次はいよいよグランプリ発表、とその前に、いとうPから、またまたサプライズの発表!
両手で異なる絵を同時に書くというスゴ技を披露した『てんてんてん。』に審査員特別賞が急遽贈られることに!
「なんで作っているのかわからない時間が200時間くらいありましたが、こういう瞬間が迎えられて報われました」と、家庭教師てつおう監督も感無量のご様子でした。
グランプリは、「U-25特別枠」から選出の土肥耕作監督『ピノッキオ』。
「めちゃくちゃ嬉しいです。頭が真っ白、とまではいきませんが、言葉が出ない感じです。ありがとうございました」と語る土肥監督は21歳。
期待をこめた皆の視線をあびて、トロフィーを握り締めていらっしゃいました。
総評では、審査員の皆さんがそれぞれに、今回上映された作品のクオリティの高さ、おもしろさを語られていました。
グランプリを決めるのは難しく、大変悩まれたようです。そんななか、土肥監督のピュアな若い息吹に皆が注目。「50万円を土肥くんにあげたら、どんな作品を作るだろう」という未知数への期待がグランプリにつながったとコメントしていました。
平山監督からは「僕が監督になったのは40歳です。やり続けるといいことがあると思います」。
いとうPからは「賞を逃した方も来年があります。このあと、夜は長い。一次会、二次会と、映画について語りましょう」と、映画作りに情熱を注ぐ皆にエールが!
ここから新しいコメディ映画が生まれてくるに違いない、そう感じた瞬間でした。
関連プログラム:
短編コンペティション したまちコメディ大賞2016