レポート by したコメサポーター 宮川智里
写真 by したコメサポーター 佐藤啓二
オープニングトークに、いとうPが登場。
「したコメでは中村座を中心にシネマ歌舞伎を上映してきたが、徐々にお客様が増えて嬉しいです。 また中村座を支えてきたお茶子さんがボランティアで集結し、ロビーの飾りつけやメッセージボードの設置等お客様の誘導とともにおもてなしをされていますので、宜しければ最後に会場内やロビーでお茶子さん達に お声を掛けていただけたら幸いです」とご挨拶。
中村座とお茶子さんの強い絆に感動しました。


(ゲスト、お客様から、たくさんのメッセージが寄せられました)
続けて、
「本日の上映「大江戸りびんぐでっど」は、非常に攻めた作品であり、脚本や演出、衣裳や道具等に至る隅々までこだわったものになっていて、浅草公会堂の大きなスクリーンで上映できるのは本当に喜ばしい事ですので、存分に楽しんでください。」という、いとうPの言葉で上映がスタート。
言葉通り、本当に斬新で攻めた内容に、会場は大盛り上がりでした。
そして上映後は中村七之助さん、歌舞伎座の本番後に駆けつけ、無事到着された片岡亀蔵さん、作・演出の宮藤官九郎さん、浅草観光連盟会長の冨士滋美さんによるトークショーへ。

片岡亀蔵さんはマニアと言える程の大のゾンビ好きで、上演が決まった時は本当にうれしくて、ゾンビの演出は自分がしなければ、との使命感から、初日には台本は全部覚えて臨んだとのこと。 ですが、ゾンビの動きが本当に大変で、舞台でゾンビはやってはいけないと力説。
さらに、早替えのため、ゾンビのメイクに凝れないことを残念がっていました。
ゾンビ愛と役者魂、お芝居に対する真摯な気持ちが伝わってきました。

この作品では、ゾンビのお芝居は役者さんのアイデアが多く取り入れられており、役者の方々が本当に楽しみながら演じていたとのお話に納得です。
中村七之助さんは、冒頭のくさや売りのシーンの台本を読んだ時の「くさやがしゃべる?」の衝撃度を告白。
訳はわからなかったものの、宮藤さんだったのでまったく不安は無かったとのこと。

歌舞伎は荒唐無稽の歴史があるので何を言われても理解ができ、すんなり役に入れるところが強みです、と七之助さん。宮藤さんがそこが本当に助かりましたと受けると、すかさず亀蔵さんが「それがイルカでも驚かない」と、冒頭のシーンについて言及。
軽妙なテンポの会話にお互いの信頼や役者の心意気が垣間見れました。

宮藤官九郎さんは、とにかく何から何まで初めての挑戦で本当に大変だったご様子。公演を終えるまでの記憶はあるがその後2、3ヶ月の記憶があまりなく、たぶん呆然としていたのではないか、と当時を振り返っていました。

冨士滋美さんが客席で初めてこの作品を見た感想は「なんだこりゃ!」という驚きのみだったそうです。
しかし、最初は驚きしかなかったが後で考えると、勘三郎さんが何故この作品を上演したのかという思いがわかり、歌舞伎の未来を考える勘三郎さんにゾンビでもいいから戻ってきて欲しい、としみじみ。
七之助さんも、こういったお父様の背中を見て、これからの歌舞伎を自分たちも盛り上げていきたいと語りました。 また、今後も攻めた作品にも挑戦していきたいという話におよぶと、では「大江戸りびんぐでっど2」を演りますか?という話になり、"2"が付く時点でやっぱり歌舞伎じゃない、とまた大盛り上がり。
始終小気味良いテンポで進んだとても楽しい舞台挨拶でした。

トークショーの模様はこちらでも↓
Youtubeしたコメ公式チャンネル
関連プログラム:
シネマ歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」inしたコメ